『episode.0.38 あの子とパーマ』

『みーまー』上映館で販売されているスピンオフムービーのDVD『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん episode.0 回遊と誘拐』(瀬田なつき脚本、菊池健雄監督)の映像特典には、『みーまー』本編の予告編、『episode.0 』のメイキングとともに、染谷将太初監督作品『episode.0.38 あの子とパーマ』が収録されている。原作者・入間人間ファンには、書き下ろしを含む小説2編が重要特典となるかもしれないが、映画ファンにとっては、染谷将太監督デビュー作品が特典として収録されているということだけで、このDVDは絶対に購入する価値がある、と断言しておこう。
本編中でも、そのパーマヘアでおなじみの岡山天音を主人公とした、染谷将太脚本・監督による13分30秒のショートムービーは、それほど充実したショットと音響設計から成り立っていて、1992年生まれという染谷監督の年齢を思わず忘れさせてしまうほどの出来栄えなのだ。*1
このショートムービーでは、冨永昌敬が歩道橋の上がり口で少女を追い越す不審な男性役をカメオ好演(?)しているのだが、この歩道橋の上がり口で少女が右側の通路に隠れて、電話する冨永監督をやり過ごしたあとに、また岡山天音が階段を上って現れるタイミングの絶妙さを見ていると、同一ショット内での人の出し入れの演出に関しては、染谷将太が『パンドラの匣』の演出家をすでに超えているのではないか、という疑念さえつい感じてしまうのだ。
わずか13分30秒のDVDの映像で、これほど充実した「映画体験」を味合わされてしまったからには、一刻も早く、染谷将太監督による長編映画第一作を映画館で見たい!
もちろん、瀬田なつきの次回作もよろしく。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん episode.0 回遊と誘拐 [DVD]

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん episode.0 回遊と誘拐 [DVD]

パンドラの匣 [DVD]

パンドラの匣 [DVD]

*1:レンタルビデオ店の正面を捉えた固定ショットをはじめとするカメラポジションは、やや教科書的だが申し分ない。カメラの動きは前後の移動とわずかなパンに抑えられ、縦構図と横構図のショットの配列もよく考えられている。